「靴箱から革靴を取り出したら白い斑点だらけになっていた」「雨の日に履いた靴を乾かさずにしまったら、靴底に緑白色のカビが生えていた」——革靴のカビは、梅雨の時期を中心に多くの方が経験するトラブルです。カビは早期に発見して適切に対処すれば、自宅でもかなりきれいに除去できます。しかし、間違った方法をとると革が取り返しのつかない状態になることも。この記事では、カビの種類別の特徴と正しいケア手順、絶対にやってはいけないNG行為、予防策まで詳しく解説します。
長期保管していた革靴を取り出す前にこの記事をブックマークしておくと、いざというときにすぐ対処できます。
目次
- 革靴にカビが生える原因|3つの条件がそろうと発生する
- カビの種類と特徴|白カビ・緑カビ・黒カビの違いを知る
- まず確認!カビかスピューか?見分け方
- 革靴のカビ取り手順【基本6ステップ】
- 靴の内側・靴底のカビ対処法
- カビ取りでやってはいけないNG行為
- 革靴のカビを二度と生やさない予防策
- プロへの依頼が必要なケースと費用目安
- よくある質問(FAQ)
革靴にカビが生える原因|3つの条件がそろうと発生する
カビが繁殖するには「温度」「湿度」「栄養(汚れ)」の3つの条件が必要です。
| 条件 | カビが活発になる状態 | 革靴での具体例 |
|---|---|---|
| 温度 | 20〜30℃ | 靴箱・クローゼット内(春〜秋に特に注意) |
| 湿度 | 70〜80%以上 | 雨の日に濡れた靴をすぐにしまった・使用後の靴をそのまま収納 |
| 栄養(汚れ) | 皮脂・泥汚れ・ホコリ・革の油分 | ブラッシングせずに保管・使用後のお手入れなし |
人の足は1日コップ1杯分の汗をかくと言われており、革靴はその汗をダイレクトに吸収します。履いた後に乾燥させずにそのまま靴箱にしまうのが最もカビを生やしやすい行為です。また、革の油分・タンニン・クリームのつけすぎもカビの栄養源になります。
以下の画像は、雨の日に履いた靴を乾かさないまま靴箱にしまったことで、アウトソール全体に見事な緑白色のカビが生えてしまった実例です。


(All About「革靴のカビ対策」より引用)
カビの種類と特徴|白カビ・緑カビ・黒カビの違いを知る
革靴に生えるカビは、色によって除去のしやすさと対処法が異なります。まず自分の靴のカビがどのタイプかを確認してください。
| カビの色 | 見た目の特徴 | 除去難易度 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 白カビ | 白い粉状・ホコリのような斑点。ふわふわしている | ⭐(比較的容易) | 早期発見なら表面にとどまりやすく除去しやすい。跡が残りにくい |
| 緑カビ | 緑〜緑白色の斑点。靴底や縫い目に出やすい | ⭐⭐(中程度) | 湿気がこもった場所に多い。白カビと同様に除去できる場合が多い |
| 黒カビ | 黒い斑点・黒いシミ状 | ⭐⭐⭐(困難) | 革の内部まで根を張りやすく、除去しても色素(黒いシミ)が残ることが多い |
革靴に発生するカビの大半は白カビ・緑カビであり、早期対処すれば跡なく除去できるケースがほとんどです。一方、黒カビは一度生えると革の繊維奥まで色素が残り、自力での完全除去は困難です。気づいた段階で素早く対応することが最も重要です。
まず確認!カビかスピューか?見分け方
革靴の表面が白くなっているとき、それが必ずしもカビとは限りません。「スピュー」と呼ばれる革内部の油脂や塩分が浮き出た現象(白い粉)がカビと見た目が似ており、混同されることがあります。
| 確認方法 | カビの場合 | スピューの場合 |
|---|---|---|
| 臭い | 土くさい・墨汁のような独特の臭いがある | 臭いはほとんどない |
| 触った感触 | ふわふわ・粉状で、触ると取れる | 少し脂っぽいワックス状・布で拭くと消える |
| 広がり方 | 点々と広がり、拭いても再発する | 表面を乾拭きするだけで消える |
スピューであれば、乾いた布で乾拭きするだけで解決します。臭いがある・再発するのはカビのサインです。判断が難しい場合はカビとして対処するのが安全です。
革靴のカビ取り手順【基本6ステップ】
革靴のカビは、水洗いは厳禁です。水で濡らすとカビが好む「湿度」を与えてしまい、一時的にきれいに見えても翌日には倍増していることがあります。必ず以下の手順で対処してください。
用意するもの
- マスク(必須)・ゴム手袋
- 馬毛ブラシ(または豚毛ブラシ)
- 革専用カビ取りスプレー(M.モゥブレイ モールドクリーナー等)またはサフィールノワール レノマットリムーバー
- 使い捨てのキッチンペーパーまたはティッシュ(ケア後は必ず廃棄)
- シューキーパー(木製のもの)
- 革用保湿クリーム(コロニル1909 シュプリームクリームデラックス・M.モゥブレイ クリームナチュラーレ等)
STEP 1|屋外に移動してマスク・手袋を着用する
室内で作業するとカビの胞子が空気中に舞い、他の衣類や革製品に移ってしまいます。必ずベランダや庭などの屋外で作業し、マスクとゴム手袋を着用してから始めてください。
STEP 2|ブラッシングで表面のカビを払い落とす
馬毛ブラシで表面に付着しているカビをやさしく払い落とします。強くこすらず、払うようなイメージで行うのがポイントです。使ったブラシにはカビの胞子が付着しているため、他の靴に使い回さないこと。ブラッシング後は1時間ほど天日干しするか、使い捨てにしましょう。
STEP 3|革専用カビ取りスプレーで全体を拭き取る
使い捨てのキッチンペーパーやティッシュに革専用カビ取りスプレー(M.モゥブレイ モールドクリーナー)を含ませ、靴全体を拭き取ります。カビが生えた部分だけでなく靴全体を拭くことが重要です(胞子が広がっている可能性があるため)。拭き方は外側からカビの中心へ囲い込むように行い、カビを広げないよう注意します。
モールドクリーナーは「有機ヨード」を主成分とし、カビの細胞膜を内側から壊して除菌します。また、拭き取り後も防カビ効果が持続するため、一般の消毒用エタノールよりも革靴には適しています。
以下の画像は、シューケアマイスター工房銀座店がALDENのコードバンシューズ(新品未使用)に生えた白カビをモールドクリーナーで除去した実際のビフォーアフターです。

(シューケアマイスター工房銀座店より引用)

(シューケアマイスター工房銀座店より引用)
STEP 4|シューキーパーを入れて5〜7日間、風通しのよい日陰で乾燥させる
モールドクリーナーを使用した場合、スプレーを吹いた後は5〜7日間、風通しのよい日陰で乾燥させることが推奨されています(製品公式推奨)。木製のシューキーパーを入れると型崩れを防ぎながら除湿もできて一石二鳥です。乾燥が不十分だとカビが再発します。
STEP 5|カビが再発していないか確認してから通常のお手入れ
乾燥後、カビが再発していないことを確認してから通常のお手入れを行います。クリーナーでカビを拭き取った際に油分が失われているため、革用保湿クリームを薄く全体に塗布し、ブラッシングで仕上げてください。クリームの塗りすぎはカビの再発原因になるため、薄く均一に塗ることが重要です。
STEP 6|使った道具は必ず廃棄する
カビ取りに使用したキッチンペーパー・ティッシュ・マスク・手袋はすべてゴミ袋に入れて密封して捨ててください。使ったタオルや布を洗濯して再利用するのは厳禁。カビの胞子が洗濯機を通じて他の洗濯物に移ってしまいます。
靴の内側・靴底のカビ対処法
靴の内側(ライニング)のカビ
内側は手が届きにくいため、割り箸に布を巻いたものにモールドクリーナーをつけてカビを拭き取ります。取り外せるインソールは取り出して別途ケアしてください(インソールは水洗い可の場合はサドルソープで洗浄できます)。内側の複雑な部分は自力での対処が難しいため、ひどい場合はプロのクリーニングを検討しましょう。
靴底(アウトソール)のカビ
靴底はゴム・レザー・合成素材など多様で、革アッパー部分よりも素材が丈夫なケースが多いです。靴底のカビはブラッシングでまず払い落とした後、靴底であればアルコールを使った除菌が比較的有効です(アッパーにかからないよう注意)。革底(レザーソール)の場合は革アッパーと同様にモールドクリーナーを使用し、油分補給も忘れずに。
以下はBrift H(ブリフトアッシュ)の長谷川裕也氏が自身のGUCCIビットローファーの靴底に生えたカビを除去した実例です。


(Brift H「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」より引用)
カビ取りでやってはいけないNG行為
| NG行為 | なぜダメなのか |
|---|---|
| ❌ 最初から水洗い・濡れ雑巾で拭く | カビが好む「湿度」を補給し、翌日には増殖してしまう |
| ❌ 消毒用エタノールをそのまま使う | 革の染料に作用して色落ち・変色・油分の喪失が起きる |
| ❌ カビ専用の漂白剤(家庭用)を使う | 革の表面を完全に傷める。修復不可能になる |
| ❌ 重曹水をスプレーする | シミ・色落ちの原因になる(プロの革職人が推奨しない方法) |
| ❌ 室内でブラッシングする | 胞子が室内に舞い、他の革製品・衣類に移ってしまう |
| ❌ 使ったブラシ・布を他の靴に使い回す | カビが他の靴に移ってしまう |
| ❌ カビ取り後すぐに靴箱にしまう | 湿気が残っていてカビが再発する |
特に「エタノールで革を拭けばいい」という情報がネット上に多く出回っていますが、革靴の場合は一般的な消毒用エタノールは色落ち・変色のリスクが高く、推奨されません。革専用のカビ取りクリーナー・スプレーを必ず使用してください。
革靴のカビを二度と生やさない予防策
① 履いたら必ずブラッシングして乾燥させる
革靴を脱いだ後、すぐに靴箱に入れずに馬毛ブラシでホコリを落として1日以上風通しのよい場所で陰干しします。雨の日に履いた靴は、玄関の段差などに斜めに立てかけて(扇風機の風を当てるとさらに効果的)ソールまで完全に乾かしてからしまいましょう。
② 同じ靴を毎日履かない|ローテーションで休ませる
同じ革靴を連続して履くと、内部の汗や湿気が排出されず雑菌が繁殖します。少なくとも2〜3足をローテーションし、履いた後は最低1日以上休ませることがカビ予防の基本です。
③ 木製のシューキーパーを使用する
木製(特にレッドシダー製)のシューキーパーには除湿・消臭効果があります。靴を脱いだらシューキーパーを入れることで湿気を吸収し、型崩れも防げます。プラスチック製は除湿効果がないため、カビ予防目的には木製を選びましょう。
④ 靴箱(下駄箱)の換気を定期的に行う
靴箱の中は密閉状態になりやすく、湿気がこもってカビの温床になります。週に1〜2回は扉を開けて換気し、靴箱の中にも除湿剤を入れましょう。長期保管する場合は靴箱ではなく不織布の袋に入れ、風通しのよい場所に立てて保管するのがベストです。
⑤ モールドクリーナーを保管場所にもスプレーする
靴にカビが生えた場合、下駄箱の棚・箱・袋などにもカビが移っていることがほとんどです。靴のカビ取り後は下駄箱の棚板・保管していた箱にもモールドクリーナーをスプレーして除菌しましょう。梅雨前にルーティンとしてスプレーするのも予防に効果的です。
⑥ 購入時の箱に入れっぱなしにしない
高価な革靴を大切にしようと買った箱に入れたまま保管する方も多いですが、これは密閉環境を作りカビの温床になります。長期保管には不織布の袋を使い、箱にしまう場合は定期的に開封して換気してください。
プロへの依頼が必要なケースと費用目安
以下のような場合は、自力でのカビ取りを無理に行わず、革靴専門のクリーニング・リペア業者への相談をおすすめします。
- 黒カビが広範囲に発生し、シミが残っている
- 複数回ケアしてもカビが再発する
- エタノールや水洗いで色落ち・変色してしまった
- コードバン・スエード・エナメルなど特殊素材の靴
- エルメス・グッチ・フェラガモなどハイブランドの高額品
| 依頼内容 | 費用目安 |
|---|---|
| カビ取りクリーニング(基本) | 3,000〜6,000円 |
| カビ取り+靴磨きフルコース | 5,000〜10,000円 |
| 色落ち補修・染め直し込み | 10,000〜30,000円以上 |
宅配での受け付けも増えており、全国から送ることができます。専門店では「無料見積もり」に対応しているところも多いので、まず状態を相談してみましょう。
革靴・革製品のケアアイテムをまとめてチェックしたい方はこちら。
よくある質問(FAQ)
Q. 革靴の白い粉はカビですか?スピューと見分けられません。
A. 最も確実な見分け方は「臭い」です。土くさい・墨汁のような独特の臭いがあればカビ、臭いがなければスピューである可能性が高いです。スピューは乾いた布で乾拭きするだけで消えますが、カビは拭いても再発します。判断が難しい場合はカビとして対処するのが安全です。
Q. カビ取りにエタノールは使えますか?
A. 一般的な消毒用エタノールは革靴に使うと色落ち・変色・油分の喪失が起きるリスクがあるため、革靴への使用はおすすめしません(特にアッパー部分)。靴底のゴム部分であれば使用できる場合もありますが、アッパーには革専用のカビ取りスプレー(モールドクリーナー等)を使いましょう。
Q. カビ取り後に革靴の色が落ちてしまいました。
A. 軽度の色落ちであれば、同色の乳化性クリームを塗布することで補色できます。範囲が広い・色が大きく変わった場合はプロのクリーニング業者による染め直しが必要です。自己流での補色は色ムラのリスクが高いため、高価な靴の場合はプロへの依頼を検討してください。
Q. 革靴を毎年夏に出すとカビが生えています。どうすれば防げますか?
A. 梅雨〜秋口にかけて保管する場合は、①シューキーパーを入れる、②不織布の袋に入れて風通しのよい場所に保管、③除湿剤を靴箱に入れる、④梅雨前にモールドクリーナーをスプレーしておく、の4点を実践してください。購入時の箱の密閉保管は避けましょう。
Q. 革靴のカビ取りに重曹は使えますか?
A. 重曹水を革靴にスプレーする方法はネット上にありますが、革のプロからは推奨されていません。重曹がシミや色落ちの原因になることがあります。革靴には必ず革専用のカビ取りスプレーを使用してください。
Q. カビが生えた革靴を捨てないといけませんか?
A. 白カビ・緑カビの場合は早期対処すればきれいに復活できることがほとんどです。黒カビでもプロのクリーニングや染め直しで改善できる場合があります。捨てる前に一度専門業者に相談することをおすすめします。
まとめ|革靴のカビは「早期対処」と「専用ケア用品」が鍵
革靴のカビは、早期発見・適切なケア用品・正しい手順さえ守れば、自宅でも大部分を除去できます。最も大切なのは「気づいたらすぐ対処する」ことです。
- 白カビ・緑カビは表面にとどまりやすく早期除去すれば跡が残りにくい
- 黒カビは深く根付き自力除去が困難なため、プロへの依頼を検討
- 革靴のカビ取りに水洗い・エタノール・漂白剤は絶対NG
- 革専用カビ取りスプレー(モールドクリーナー等)を使って全体を処理
- ケア後は5〜7日間日陰で乾燥させ、保湿クリームで仕上げ
- 使ったケア道具はすべて廃棄。他の靴への転用厳禁
- 日常の予防(乾燥・ローテーション・シューキーパー・換気)が最大の対策
大切な革靴を長く愛用するためのケアアイテム選びはこちらも参考にどうぞ。


