革製品のタグや商品説明でよく見かける「床革(とこがわ)」という言葉、正確な意味を知っていますか?本革と何が違うのか、使っても大丈夫なのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、床革の基礎知識から本革との違い、種類、活用方法、お手入れ方法まで、レザーの専門サイトが徹底的に解説します。革を選ぶ際の判断基準として、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 床革(とこがわ)とは?読み方と基本を解説
- 床革ができるまで:革の製造工程と分割の仕組み
- 床革の種類(石灰床・生床・青床)
- 床革と本革(銀付き革)の違いを徹底比較
- スプリットレザー・スウェード・ヌバックとの違い
- 床革のメリット・デメリット
- 床革の活用方法・用途
- 床革のお手入れ方法
- 品質表示に関する注意点
- 床革とサステナブル:アップサイクルの広がり
- 床革素材のおすすめ商品(Amazon・楽天)
- まとめ
床革(とこがわ)とは?読み方と基本を解説
床革は「とこがわ」と読みます。英語では「スプリットレザー(Split Leather)」とも呼ばれます。
📌 床革とは:牛などの動物の皮を厚さ調整のために分割(スプリット)する際に、表面層(銀面)を取り除いた後に残る内側の層のこと。銀面(ぎんめん)を持たない革です。
製品化される前の「皮」の断面は、表皮層・真皮層・皮下層の3層構造になっています。革になるのは真皮層で、スプリッティングマシンという専用の分割機を使って所定の厚さに調整します。この工程で上層(銀面側)に分けられたものが「銀付き革(本革)」、下層に残ったものが「床革」です。
床革は比較的採取できる面積が広く、原料コストも低いため、革素材の中では手頃な価格で入手できます。一方で、銀面がないためそのままでは毛羽立った粗い質感になります。
床革ができるまで:革の製造工程と分割の仕組み
床革がどのようにできるのかを理解するために、革の製造工程を簡単に確認しましょう。
- 原皮の入荷:食肉加工時の副産物として牛などの皮(原皮)が革工場へ届く
- 準備工程(ビームハウス):石灰漬けなどの化学処理で毛や脂肪を除去し、皮を柔軟にする
- スプリッティング(分割):スプリッティングマシンで皮を上下に分割する。上層が「銀付き革」、下層が「床革」
- なめし:タンニン鞣しやクロム鞣しなどで皮を革に変える
- 仕上げ・加工:染色・塗装・各種加工を施して完成
💡 ポイント:床革は工程の中で必ず発生する副産物です。牛1頭から採れる本革の量には限りがあるため、床革を上手に活用することが革産業全体のサステナビリティにもつながります。
床革の種類(石灰床・生床・青床)
床革にはいくつかの種類があり、製造工程のどの段階で分割されたかによって異なります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 石灰床 | 石灰漬け(ライミング)処理後に分割した床革。最も一般的な床革 |
| 生床(きどこ) | 石灰漬けをする前の段階で分割したもの。繊維がよりしっかりしている |
| 青床(あおどこ) | クロム鞣しを施した後に分割した床革。柔軟性が高く、靴の内張りなどに使用される |
床革と本革(銀付き革)の違いを徹底比較
「本革」という言葉は厳密に定義されていないことも多いですが、一般的には銀面(表面の自然な皮膜)を持つ革を指します。床革との主な違いは以下の通りです。
| 比較項目 | 本革(銀付き革) | 床革 |
|---|---|---|
| 銀面(表面) | あり(滑らかな天然皮膜) | なし |
| 表面の質感 | 滑らか・ツヤあり | 毛羽立ち・ザラザラ |
| 耐久性 | 高い | 低い(繊維が粗い) |
| 耐水性 | 比較的あり | 低い(加工なしの場合) |
| 経年変化 | あり(エイジングを楽しめる) | ほぼなし |
| 価格 | 高め | 安価 |
| 厚み | 均一で安定している | 不均一になりやすい |
⚠️ 注意:床革は「天然素材から作られている」という意味では本物の革ですが、品質・耐久性・エイジングの面では銀付き革(フルグレインレザーなど)とは大きく異なります。購入前に必ずどちらの素材か確認しましょう。
スプリットレザー・スウェード・ヌバックとの違い
床革は様々な加工を施すことで別の素材として生まれ変わります。混同しやすい素材との違いをまとめました。
スプリットレザーとは
スプリットレザー(Split Leather)は、床革の表面に樹脂(ポリウレタンなど)を積層して補強した素材です。見た目や質感は本革に似せられており、強度も向上しています。ソファや自動車の内装、バッグなどに広く使われています。
📌 床革 ≠ スプリットレザー:スプリットレザーは床革に加工を加えた素材。床革はその原材料と考えるとわかりやすいです。
スウェードとは
スウェード(Suede)は、床革の床面(裏側)をサンドペーパーなどで起毛させた素材です。柔らかく滑らかな肌触りが特徴で、靴やバッグ、衣類によく使われます。床革から作られる代表的な加工素材の一つです。
ヌバックとは
ヌバック(Nubuck)は、銀付き革(本革)の表面(銀面)をサンドペーパーでバフがけして起毛させた素材です。スウェードと似た見た目ですが、ヌバックは本革の表面を加工したものなので、スウェードより毛足が短く、高級感があります。
| 素材名 | 原材料 | 加工方法 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 床革 | 皮の下層部分 | なし(原材料) | 毛羽立ち・薄い・安価 |
| スプリットレザー | 床革 | 樹脂コーティング | 本革に似た見た目・強度向上 |
| スウェード | 床革 | 床面の起毛加工 | 柔らかな肌触り・起毛感 |
| ヌバック | 本革(銀付き革) | 銀面の起毛加工 | 毛足が短い・高級感あり |
床革のメリット・デメリット
✅ 床革のメリット
- 価格が安い:銀付き革に比べて大幅に低コストで入手できる
- 柔らかく軽い:薄くて柔軟性があり、加工しやすい
- 入手しやすい:一頭の牛から採れる量が比較的多い
- 練習用・試作用に最適:レザークラフトの型紙確認や技術練習に低コストで使える
- 加工の幅が広い:起毛加工・樹脂加工・染色など様々な二次加工が可能
- 撥水性(加工品の場合):樹脂コーティングされたスプリットレザーは撥水性が高い
- サステナブル:廃棄されていた革を有効活用できる
❌ 床革のデメリット
- 耐久性が低い:繊維が粗く、強い力がかかると割れや破れが起きやすい
- 厚みが不均一:品質のばらつきが大きく、均一な厚みにするには漉き加工が必要
- 経年変化がない:本革のようなエイジング(使い込むほどに深まる風合い)は期待できない
- 耐水性が低い(未加工の場合):スプリットレザーなど加工品を除き、水に弱い
- 天然素材の質感が薄れる:スプリットレザーは見た目が本革に似ているが、手触りや風合いは劣ることがある
床革の活用方法・用途
床革はその特性を活かして、様々な場面で活用されています。
🛠️ レザークラフトでの活用
床革はレザークラフトをする方にとって非常に便利な素材です。特に以下の用途でよく使われています。
- 型紙の確認・試作:本番の革を使う前に型紙の確認や縫製の練習に使用。安価なため失敗しても惜しくない
- あんこ(詰め物)・芯材:バッグや財布の形状を保つための詰め物や補強材として
- コバ処理材:革の断面(コバ)に貼り合わせて仕上げをきれいにする
- 作業マット代わり:厚めの床革(1〜3mm)を机に敷いてレザークラフトの下敷きとして使用
- 革小物の制作:コースター、カードケース、キーホルダーなど薄型小物の制作
- 染色・スタンピング練習:染料の発色確認や刻印練習に最適
💡 初心者へのアドバイス:レザークラフトを始める際、まず床革で練習することを強くおすすめします。安価で加工しやすく、縫製・刻印・染色の技術習得に最適です。
👟 革製品・工業製品での活用
- 靴の内張り・中敷き:肌に触れる部分に床革の柔軟性を活かして使用
- バッグの裏地:内側の裏地素材として使用
- 手袋の素材:床ベロアは作業用手袋に多用されてきた
- ソファ・家具の内装:スプリットレザーとして使用
- 自動車の内装:シートやドアパネルにスプリットレザーが使われることも
- 造花・フラワー素材:薄く柔軟な床革は造花の花びらなどにも使用される
床革のお手入れ方法
床革のお手入れ方法は、加工の有無によって大きく異なります。自分の持っている製品がどちらのタイプかを確認してからケアを行いましょう。
① スプリットレザー(樹脂加工あり)のお手入れ
表面が樹脂で覆われているため、内部への保湿は基本的に不要です。
- 革用ブラシやサッとした布で表面のほこり・汚れを払う
- 目立つ汚れは固く絞った布で軽く拭き取る
- 革用クリームやオイルは基本不要(樹脂が劣化することがある)
- 小さなキズはブラッシングで目立たなくなる場合もある
② 起毛した床革(スウェード・床ベロア)のお手入れ
- スエードブラシでほこりや汚れを払う
- 革用クリームやスプレー(スエード専用)で保湿する
- 毛並みが乱れたらブラシで整える
- 防水スプレーを定期的にかける:起毛革は水が染み込みやすくシミになりやすいため、使用前と定期的なスプレーが重要
- 防水スプレー後は直射日光を避け、風通しの良い場所で完全乾燥させる
③ レザークラフトでの床革処理(トコ処理)
レザークラフトで床革をそのまま使用する場合、毛羽立ちを抑えるための「トコ処理」を行うのが基本です。
- トコノールやCMCなどの床面処理剤を床面(裏面)に薄く均一に塗布する
- ガラス板やスリッカーなどで素早く磨く
- 余分な処理剤を拭き取りながら毛羽立ちを押さえ、ツヤを出す
- 完全に乾燥させれば完成
品質表示に関する注意点
⚠️ 消費者として知っておきたい重要な情報です。
日本では「雑貨工業品品質表示規程」に基づき、かばんなどの革製品に対して革素材の種類を適切に表示することが義務付けられています。
- かばんの外面積の60%以上が床革の場合、「床革」と明示する義務がある
- 床革を使っている製品に単に「牛革」「本革」とだけ表記するのは不適切(消費者の誤認につながる)
- スプリットレザーについても同様で、「○○床革」と明確に表示することが望ましい
🛍️ 購入時のチェックポイント:安価な「革製品」を購入する際は、タグや商品説明に「床革」「スプリットレザー」「合成皮革」などの表示がないか確認しましょう。「本革」とだけ書かれていても、それが床革の場合があります。
床革とサステナブル:アップサイクルの広がり
近年、環境意識の高まりとともに床革への注目が高まっています。従来は廃棄されることが多かった床革ですが、現在は「アップサイクル素材」として積極的に活用する動きが広がっています。
- 廃棄予定の床革にアーティストがプリントを施してバッグや小物を製作
- 革の鞣し工程で発生する床革を芯材に使い、本革と組み合わせた製品づくり
- 廃棄床革を使った抹茶碗など、クラフト作品への応用
- 国産の植物タンニン鞣し床革を使ったSDGsアイテム
🌱 床革は「最もサステナブルなレザー」とも呼ばれています。食肉産業の副産物である皮から生まれる床革を有効活用することで、廃棄物削減とサーキュラーエコノミーの実現に貢献できます。
床革素材のおすすめ商品(Amazon・楽天)
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まとめ:床革は「知って使えば」頼もしい素材
床革(とこがわ)についておさらいしましょう。
- 床革とは、革の製造工程で分割される際に生まれる銀面を持たない内層の革
- 本革(銀付き革)と比べて耐久性・経年変化は劣るが、価格が安く加工しやすい
- スプリットレザー・スウェード・ヌバックなどはいずれも床革を原材料とした加工素材
- レザークラフトの練習・試作用として非常に優秀
- 靴の内張り・バッグ裏地など、最終製品にも幅広く使われている
- お手入れは加工の有無によって方法が異なる
- 品質表示に関するルールを理解し、購入時には素材表示を必ず確認する
- 廃棄素材として扱われてきたが、アップサイクルの観点から再評価されている
床革は「安物の素材」ではなく、その特性を正しく理解して使えば非常に頼もしいレザー素材です。レザークラフトの入門としても、エコ・サステナブルな観点からも、今後ますます注目が集まる素材といえるでしょう。
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