世界レザーデー2026「Make It Leather」始動——革を選ぶことが、サステナブルな未来への第一歩

「革を選ぶことは、長く使える選択をすること」——2026年、世界の革業界がひとつのメッセージのもとに集結しようとしています。Leather Naturallyが発表した「Make It Leather(メイク・イット・レザー)」キャンペーンは、4月29日の世界レザーデー2026に向けた史上最大規模のグローバル発信です。ファストファッションが蔓延し、使い捨て文化が当たり前になった時代だからこそ、革が持つ本質的な価値を問い直す動きが世界中で始まっています。

本記事では、このキャンペーンの背景・内容・日本の革ファンが知っておくべきポイントをまとめて解説します。

目次

世界レザーデーとは?

世界レザーデー(World Leather Day)は、革素材の価値と革産業の意義を広く発信することを目的とした国際的なイベントです。2022年にLeather Working Group(LWG)とLeather Naturallyが共同で創設し、毎年4月下旬に開催されています。

牛農家やタンナー(なめし業者)から、バッグ・靴のデザイナー、そして消費者まで、革に関わるすべての人々が一体となって革の魅力・耐久性・サステナビリティを発信する「業界横断の祭典」です。2026年の開催日は4月29日(水)です。

2026年テーマ「Make It Leather」の意味

2026年のテーマ「Make It Leather(革を選ぼう)」は、単なる意識向上を超えた行動への呼びかけです。Leather NaturallyのボードメンバーであるJim Deheer氏は次のように語っています。

「ただ認知を広げるのではなく、行動を起こすことが目的です。『Make It Leather』は、質と耐久性を重視するとき、意識的に革を選ぶことへの前向きな呼びかけです。」

— Jim Deheer(Leather Naturally コミュニケーション担当)

このキャンペーンが提示する3つの約束は以下のとおりです。

キーワード意味
自信(Confidence)革という素材を選ぶことへの誇りと確信
品質(Quality)長く使えること、修理できること、経年変化が美しいこと
意図(Intent)使い捨てではなく、長持ちする素材を意識的に選ぶ消費行動

なぜ今このメッセージが重要なのか

世界では毎年膨大な量の衣類・服飾品が廃棄されています。ファストファッションの台頭により、製品の寿命は短くなり、消費と廃棄のサイクルが加速しています。そんな時代だからこそ、「長く使えるもの」「修理できるもの」「時間とともに美しくなるもの」としての革の価値が改めて注目されています。

Leather Naturallyのデータによれば、世界で毎年2億7,000万枚以上の動物の皮が食品産業の副産物として革に生まれ変わっています。もし革として活用されなければ、これらはすべて廃棄物になります。つまり、革を選ぶことは廃棄物削減に直結するサステナブルな行動でもあるのです。

さらに2026年の業界背景として、ヴィーガンレザーや代替素材の台頭、JIS規格による「革・レザー」の定義厳格化(動物由来のものに限定)など、革の「本物らしさ」が問われる時代になっています。このような状況だからこそ、「革とは何か」「なぜ革を選ぶのか」を業界全体が声に出して発信することに大きな意義があります。

キャンペーンの具体的な取り組み

「Make It Leather」キャンペーンは単発イベントではなく、年間を通じた継続的な発信戦略として設計されています。主な取り組みは以下のとおりです。

①デジタルハブの開設

2026年3月初旬、Leather Naturallyは世界レザーデー専用デジタルハブを開設しました。ファクト情報、誤解を解くコンテンツ、インスピレーション記事など、革に関するあらゆる情報が一か所にまとめられています。

②ソーシャルメディア&インフルエンサー連携

世界各地のインフルエンサーや業界関係者と連携し、SNSを中心に「Make It Leather」のメッセージを拡散します。ハッシュタグ運動として各国の革ファンや職人が参加できる仕組みも整備されています。

③業界向けツールキットの配布

Leather Naturally加盟メンバーには、キャンペーン用の画像・ソーシャルメディア素材からなるプロモーションツールキットが提供されます。タンナー、ブランド、小売店など誰でも「Make It Leather」メッセージを自社コンテンツに取り込んで活用できます。

④4月29日をピークに年間継続

メインイベントは4月29日ですが、「Make It Leather」はその後も「常時発信(always-on)」として継続します。一過性のキャンペーンではなく、革産業全体の意識改革を目指した長期的なブランディング戦略です。

日本の革ファン・職人・ブランドへの影響

日本は世界有数の革製品消費国であり、姫路・栃木・東京墨田区などに高品質なタンナーや職人が集積しています。「Make It Leather」の波は日本にも確実に届いています。

特に注目すべきは、日本でも2024年にJIS規格(JIS K6541:2024)で「革・レザー」が動物由来素材に限定定義されたこと。これにより「アップルレザー」「マッシュルームレザー」などを「○○レザー」と呼ぶことがJISに適合しなくなりました。本物の革の希少価値と信頼性が、制度面からも裏付けられています。

また、経済産業省が推進する「ジャパンレザー海外発信プロジェクト」では、2026年にピッティ(イタリア・フィレンツェ)、パリ、上海での展示会を通じて日本製皮革製品のブランド確立が進められています。世界レザーデーの潮流と日本の革産業復興の動きは、同じベクトルを向いています。

革好きの消費者として今できることは、革製品を長く大切に使い、修理しながら愛用し、その価値を発信すること。それが世界と繋がる「Make It Leather」への参加です。

革はサステナブルな素材である

「革はかわいそう」「環境に悪い」——そんな誤解が広がっていますが、現代の革生産の実態はまったく異なります。

まず、市場に流通する革のほぼすべては食肉産業の副産物です。牛や豚を「革のために」殺しているわけではなく、食肉加工の過程で生じる皮を有効活用しているのが革産業です。もし革として利用されなければ、これらは廃棄物として焼却・埋め立て処分されます。

さらに、適切にお手入れした革製品は10年・20年・それ以上使い続けることができます。一方、代替素材として普及しているPU(ポリウレタン)レザーや合成皮革は、数年で剥がれや劣化が起き、多くは廃棄されます。ライフサイクル全体を見れば、長持ちする本革の方がトータルの環境負荷が小さいとも言えます。

「Make It Leather」キャンペーンはこうした事実を広く伝え、消費者が正しい情報に基づいて素材選びができるよう支援しています。

よくある質問

Q. 世界レザーデー2026はいつ?

A. 2026年4月29日(水)です。Leather NaturallyおよびLeather Working Groupが主導し、世界各地でイベントや情報発信が行われます。

Q. 「Make It Leather」キャンペーンに一般消費者も参加できる?

A. はい、参加できます。SNSで「#MakeItLeather」ハッシュタグを使って革製品の写真や想いを投稿することが参加の第一歩です。愛用の革小物や革靴の写真を発信して、革文化の広がりに貢献しましょう。

Q. ヴィーガンレザーと天然皮革、どちらが環境に優しい?

A. 一概には言えませんが、天然皮革は食肉副産物を活用するため廃棄物削減になること、また長く使えば使用期間中の環境負荷が小さいこと、さらに天然素材として生分解性があることなど、総合的な視点では天然皮革に利点があります。代替素材の多くは石油由来の合成樹脂を含んでおり、耐久性・廃棄時の環境負荷について慎重に比較することが重要です。

Q. 日本でも世界レザーデーのイベントはある?

A. 現時点で日本国内の公式イベントは発表されていませんが、革関連のショップや職人工房がSNSで「Make It Leather」に関連した発信を行うことが期待されます。日本皮革産業連合会(JLIA)の活動もチェックしてみてください。

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