「世界革の日まで残り1週間」「ホルムズ海峡再封鎖」「中東情勢でサプライチェーン混乱」——2026年4月第3週の革業界は、世界革の日(4月29日)に向けた最終準備期間と、グローバル物流の停滞リスクが交錯する週となりました。欧州市場ではエネルギーコスト上昇と物流遅延の影響が顕在化し、Leatherbiz Market Intelligenceは「市場が事実上の麻痺状態にある」と指摘。一方、日本国内でも新作レザーアイテムの発売が続き、ハイブランドのコレクションが季節を彩りました。今週もleather-note.com編集部が、皆様にお届けしたい革業界のニュースをまとめます。
目次
- ①万双(東京上野店)、4月臨時営業のお知らせ——GWに向け革好きへの配慮
- ②discord Yohji Yamamoto「タック」ショルダーバッグ発売
- ③ユニクロ、メルセデス・ベンツ・ファッションフェスタ参戦——日本ファッション界の動向
- ④Leatherbiz Market Intelligence「計画立案の信頼性が著しく低下」
- ⑤Iran戦争影響——ロングビーチ港CEO「圧力は確実に増している」と警告
- ⑥中東危機、欧州空港のジェット燃料不足リスクを警告
- ⑦Zimbabwe ALLPI、皮革産業復活に向けて関係者の協働を呼びかけ
- ⑧World Leather Day 2026まで残り1週間——準備の追い込み
- 今週の総括・展望
- レザー・皮革業界関係者の皆様へ
- よくある質問(FAQ)
- 参考記事リンク
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①万双(東京上野店)、4月臨時営業のお知らせ——GWに向け革好きへの配慮
日本を代表する革製品ブランド「万双(まんそう)」は、2026年4月21日、東京上野店の臨時営業日を告知しました。通常水曜日が定休日のところ、4月29日(水・祝)と5月6日(水・祝)は臨時営業し、午前11時から午後6時までの営業時間で対応するとのことです。
万双は、欧州の革に対抗するために日本独自のフルタンニン二重鞣し革「双鞣和地(そうなめしわじ)」を6年がかりで開発した、知る人ぞ知る本格派レザーブランドです。最近ではホーウィン社のコードバンとクロムエクセルを使った「ダブルホーウィン」シリーズや、厚コバが特徴の新シリーズなど、革好きが唸る商品展開を続けています。
📝 編集部コメント
万双の臨時営業の告知は、ゴールデンウィーク中に革製品をじっくり選びたい革好きへの配慮として、見事な顧客ファーストの判断です。業界の繁忙期と顧客のライフサイクルを丁寧に合わせる姿勢は、ECが主流になっても実店舗ならではの強みを発揮できる好例です。本格派の革製品を求める方にとって、4月29日(世界革の日でもあります)に上野店を訪れることは、特別な体験となるでしょう。
②discord Yohji Yamamoto「タック」ショルダーバッグ発売
ディスコード ヨウジヤマモト(discord Yohji Yamamoto)の「タック(TUCK)」ショルダーバッグが、2026年4月17日(金)に発売されました。長方形の型紙のみから生み出されたショルダーバッグで、タックを施し、あえてくしゅっとさせたようなディテールで遊びを加えた、ゆったりフォルムのショルダーが特徴です。
ヨウジヤマモトのレザー製品は、ファッション界で「素材を建築的に扱う」アプローチで知られており、今回の「タック」もその哲学を踏襲した一品となっています。
📝 編集部コメント
日本ブランド・ヨウジヤマモトのレザーバッグ展開は、世界の革業界における「日本のクラフツマンシップ」のアピールにもなります。ミニマルな型紙から立体的な造形を生み出すアプローチは、まさに「素材と対話する」日本のものづくりの真髄です。海外のラグジュアリーブランドと差別化する方向性として、こうした「概念的な深さ」を持つ商品作りは、日本の革製品事業者にとって参考になる好例です。
③ユニクロ、メルセデス・ベンツ・ファッションフェスタ参戦——日本ファッション界の動向
日本のファッション業界を代表するユニクロが、2026年4月22日に発表したセシリー・バンセンとの協業コレクションが5月22日から販売開始されることが分かりました。ユニクロはセシリー・バンセンとのコラボレーションを通じて、サステナビリティと普遍的なデザインの両立を目指しています。
ユニクロは近年、「LifeWear」というコンセプトのもと、レザーアイテムも含めた様々な素材で持続可能性を追求しており、ファッション業界全体の素材選定の方向性に影響を与え続けています。
📝 編集部コメント
ユニクロのようなマスマーケットブランドの動向は、革製品市場全体に影響を与える重要なシグナルです。ユニクロが本革を採用するか、合成皮革を採用するかは、世界の素材選定の傾向を一定程度反映します。日本の革製品事業者は、マスマーケットブランドの動向と、本革を求めるユーザーニーズの両軸を見ながら、自社の立ち位置を明確にすることが求められます。
④Leatherbiz Market Intelligence「計画立案の信頼性が著しく低下」
2026年4月21日付のAPLF Industry Newsで、Leatherbiz Market Intelligenceの最新ニュースレターが取り上げられ、「Planning reliability is in short supply(計画立案の信頼性が著しく低下している)」という強い警告が発信されました。同記事によると、地政学的緊張により輸送コストの上昇、リードタイムの長期化、計画立案の信頼性低下が現実のものとなっており、市場参加者の多くが意思決定を先送りしているとのことです。
「In plain terms, there is a near-complete paralysis in the market(端的に言えば、市場はほぼ完全な麻痺状態にある)」というLeatherbizのコメントは、業界の現状を率直に示しています。さらに、生産コストの上昇でマージンが圧迫される一方、低品質の原皮は伝統的な皮革加工から逸脱して代替用途に向けられる傾向が強まっていることも指摘されました。
📝 編集部コメント
「市場の麻痺」という表現は、革業界が抱える現状の深刻さを端的に示しています。シーズン全体に影響を及ぼす意思決定が遅れることで、来季・再来季の素材調達や商品企画に連鎖的な影響が出る可能性があります。日本の革ブランドにとっては、サプライチェーンを早めに固めること、そして長期的な信頼関係のあるパートナーとの関係を強化することが、これからの不確実な時代に対するヘッジとなるでしょう。
⑤Iran戦争影響——ロングビーチ港CEO「圧力は確実に増している」と警告
2026年4月21日付のAPLF記事で、米国西海岸最大級のコンテナ港ロングビーチ港のCEOが「Pressures Are Indeed Mounting(圧力は確実に増している)」とコメントしたことが報じられました。ホルムズ海峡をめぐるイラン情勢の悪化により、北米西海岸へのコンテナ輸送リードタイムが延び、輸入業者は在庫戦略の見直しを迫られています。
革製品業界では、米国向け輸出をするイタリア・スペイン・トルコのタンナーや、米国市場で販売する中国・ベトナム・インドのレザーグッズメーカーが直接的な影響を受けています。
📝 編集部コメント
グローバル物流の混乱は、革製品業界にとって複合的なリスクです。輸送コストだけでなく、納期の不確実性、在庫管理の困難さ、消費者への商品提供の遅れなど、複数の側面で影響が出ます。日本の革製品ブランドにとっては、米国市場向けの戦略を再考するタイミングかもしれません。一方で、不確実な国際物流が続く局面では、「国産・国内消費」の強みが改めて際立ちます。Made in Japanの価値訴求は、これまで以上に響くはずです。
⑥中東危機、欧州空港のジェット燃料不足リスクを警告
2026年4月21日付のAPLF記事は、「European Airports Risk Jet Fuel Shortage by May Due to Hormuz Crisis」として、欧州空港が5月までにジェット燃料不足に直面する可能性があると報じました。これは航空貨物輸送(高付加価値の革製品やサンプル輸送に多用される手段)にも直接的な影響を及ぼします。
LineapelleやAPLF、東京レザーフェアなどの国際見本市では、サンプル輸送と関係者の渡航が頻繁に行われるため、ジェット燃料不足は業界全体のビジネス活動に影響を及ぼす可能性があります。
📝 編集部コメント
航空輸送への影響は、革業界にとって見過ごせないリスクです。サンプルの即時送付や、見本市への参加・出展、ハイエンド商品の航空便配送など、様々なビジネスシーンに波及します。中東情勢が早期に収束しない場合、5月の東京レザーフェア(5月21〜22日)に向けても、海外参加者の渡航や貨物輸送に影響が出る可能性があります。事業者の皆様には、見本市スケジュールの早期確認と、代替輸送ルートの検討を強くお勧めします。
⑦Zimbabwe ALLPI、皮革産業復活に向けて関係者の協働を呼びかけ
2026年4月16日(木)、ジンバブエの第二都市ブラワヨで開催された「ジンバブエ皮革バリューチェーンステークホルダーワークショップ」で、アフリカ皮革・皮革製品研究所(ALLPI)が、皮革産業の品質改善と稼働率向上のため、業界関係者の協働を強く呼びかけました。
ALLPIエグゼクティブディレクターのNicholas Mudungwe氏は「歴史的に、現在の先進国の多くは皮革と繊維産業を経済発展の基盤として活用してきた」と語り、ジンバブエが過去に有していた品質と国際輸出競争力を取り戻すべきだと強調しました。さらに、「アフリカは世界の皮革バリューチェーンのポテンシャルの25%を持つが、貢献度はわずか3%」と指摘し、22%のギャップを埋める必要性を訴えました。
📝 編集部コメント
ジンバブエやアフリカ全体の皮革産業の動向は、世界の革のバリューチェーンの将来を左右する重要なテーマです。先週のRobbiki Leather Cityの近代化と合わせて、アフリカ大陸全体で皮革産業の再構築が進んでいることが分かります。日本の革製品事業者にとっては、アフリカが「次の調達先」として浮上する可能性を視野に入れた戦略的視点が必要となります。地政学リスクで中東・アジアのサプライチェーンが揺らぐ中、アフリカへの注目度は今後高まっていくでしょう。
⑧World Leather Day 2026まで残り1週間——準備の追い込み
4月29日に控えるWorld Leather Day 2026「Make It Leather」キャンペーンに向けて、世界中の業界団体・タンナー・ブランドが最終準備の段階に入っています。Leather Naturallyのデジタルハブには、ファクトシート、ビデオ、画像素材などが用意されており、各社が独自のメッセージで本革の魅力を発信しています。
日本のブランドや業界団体も、ハッシュタグ#MakeItLeatherや#WorldLeatherDayを使ったSNS発信が活発化しており、革業界全体で「革の価値再定義」のメッセージが広まりつつあります。
📝 編集部コメント
World Leather Dayの直前期間は、業界全体で「同じメッセージを発信する」貴重な機会です。日本でもこの機運に乗り、各社が積極的にSNS発信や店頭イベントを企画することで、World Leather Dayを単なる海外発のキャンペーンではなく、日本の革業界の活性化につなげられるはずです。革好きユーザーの皆様にとっても、お気に入りの革アイテムを写真に撮って投稿することで、世界中の革好きとつながる素敵な体験ができる日となります。
今週の総括・展望
2026年4月第3週は、「不確実性の高まりと、業界の集結」という二つの相反する動きが同時に進行した週となりました。
第一の軸は「地政学リスクの本格的な経済波及」です。Leatherbiz Market Intelligenceの「市場麻痺」発言、ロングビーチ港CEOの警告、欧州空港のジェット燃料不足リスク——いずれも、ホルムズ海峡情勢が抽象的な国際ニュースから、革業界の具体的な経営課題へと変質したことを示しています。輸送コストの増加、リードタイムの不確実化、消費者価格への転嫁圧力は、しばらく続くと見られます。
第二の軸は「新興市場への注目シフト」です。ジンバブエALLPIの動き、Robbiki Leather Cityの近代化(先週)など、アフリカ大陸の皮革産業が国際的な注目を集めつつあります。中東・アジアの不確実性が続く中、グローバル皮革供給地図の組み替えが起きる可能性があります。
第三の軸は「World Leather Day直前の業界結集」です。4月29日の世界革の日に向けて、世界中の業界団体・タンナー・ブランドが「Make It Leather」のメッセージで結集しつつあります。業界の声を一つにまとめる機会として、極めて重要なタイミングとなります。
来週はついにWorld Leather Day 2026本番。日本国内でも各ブランド・タンナーがどのようにこの日を活用するか、また5月の東京レザーフェアに向けた業界の動きにも注目です。leather-note.comは、引き続き国内外の革業界の動向を丁寧に追い続けていきます。来週もぜひお楽しみに。
レザー・皮革業界関係者の皆様へ
革製品好きのユーザー
4月29日、いよいよWorld Leather Day 2026が目前です。今年のテーマは「Make It Leather」——あなたが愛用している革製品、思い入れのあるレザーアイテム、家族から受け継いだ革小物——どんな革製品にも、それぞれのストーリーがあります。この日には、ぜひお気に入りの革アイテムを手に取り、ハッシュタグ#MakeItLeatherや#WorldLeatherDayで世界中の革好きとつながってみてください。万双の上野店のように臨時営業をする店舗もありますので、革製品をじっくり選びたい方には絶好のタイミングです。Made in Japanのレザーアイテムを改めて見直すきっかけにしていただければ嬉しいです。
革事業者・ブランド担当者
今週のニュースは、業界の不確実性と一致団結の両面を示しています。中東情勢を起因とする物流混乱は、しばらく続くと見られ、サプライチェーンの強靭化と代替ルートの確保は急務です。一方、World Leather Dayに向けた業界の結集は、貴社のブランドメッセージを世界の文脈に位置づける絶好の機会です。SNS発信、店頭イベント、お得意様への特別案内など、できる範囲のアクションを通じて、自社のメッセージを発信してください。また、新興市場(アフリカ・東南アジア)への注目度の高まりは、グローバルサプライチェーン戦略の見直しを促す重要な動きです。日本のブランドにとって、不確実な時代こそ「国産・国内消費」「Made in Japanの品質」という強みが際立つチャンスでもあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. World Leather Day 2026で個人ができることは何ですか?
最も簡単で効果的な参加方法は、お気に入りの革アイテム(バッグ、財布、靴、ベルト、革小物など)の写真をSNSに投稿し、ハッシュタグ#MakeItLeather や#WorldLeatherDayを付けることです。Leather Naturallyの公式デジタルハブには、画像素材やファクトシートも公開されており、自由に活用できます。革を購入したエピソード、何年使っているか、どのように手入れしているかなど、あなたの革との物語をシェアすることで、世界中の革好きとつながることができます。
Q2. 中東情勢の影響で、革製品の入荷遅延はどれくらい続きそうですか?
具体的な期間は予測しづらいですが、Leatherbizの「市場麻痺」という表現が示すように、現状は短期的な解決が見込みにくい状況です。物流ルートの再構築や代替輸送手段の確立には数か月単位の時間がかかると見られています。お気に入りのブランドがある方は、お店や公式サイトで最新の入荷情報を確認することをお勧めします。また、すでに国内に在庫があるアイテムは、影響を受ける前に入手するのが賢明です。
Q3. アフリカ産の革と、日本やイタリアの革ではどう違いますか?
アフリカ産(特に南部アフリカ)の革は、伝統的に高品質な原皮を産出することで知られていますが、現状は加工技術や検査基準が国によって異なるため、最終製品の品質にばらつきがあります。一方、日本(姫路・栃木)やイタリア(トスカーナ)のタンナーは、長年の伝統と最新技術を組み合わせた仕上げ技術で世界トップレベルの品質を誇ります。今後、アフリカの皮革産業が近代化を進めることで、世界の選択肢が広がる可能性があります。
Q4. 東京レザーフェア(5月21〜22日)は予定通り開催されますか?
現時点では、東京レザーフェア(TLF)第111回は2026年5月21日〜22日に予定通り開催される見込みです。会場は東京都立産業貿易センター台東館です。中東情勢による海外参加者の渡航や、国際物流のサンプル輸送には影響が出る可能性がありますが、国内の出展者・来場者を中心に開催される予定です。事前登録の受付は4月以降開始される予定ですので、関心のある方は公式サイト(tlf.jp)でご確認ください。
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参考記事リンク
- 万双公式オンラインショップ|東京上野店4月臨時営業のお知らせ(2026年4月21日)
- ファッションプレス|discord Yohji Yamamoto「タック」ショルダーバッグ(2026年4月17日)
- 繊研新聞|ユニクロ セシリー・バンセン協業コレクション(2026年4月22日)
- APLF|Leatherbiz Market Intelligence – Planning reliability is in short supply(2026年4月21日)
- APLF|Logistics and Inflation – ‘Pressures Are Indeed Mounting’ from Iran War(2026年4月21日)
- APLF|Middle East Crisis – European Airports Risk Jet Fuel Shortage by May Due to Hormuz Crisis(2026年4月21日)
- APLF|Zimbabwe – ALLPI Urges Zimbabwe Leather Sector Players to Collaborate(2026年4月21日)
- Leather Naturally|Q&A: World Leather Day 2026 – Make It Leather
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