【2026年4月3日〜9日】今週の革業界ニュースまとめ|業界動向と注目トレンドを解説

「Brazil革輸出9.8%減」「EUDR新ガイドライン」「ランドセルリメイク始動」——2026年4月第1週の革業界は、世界規模での価格再編と、日本国内の新年度ならではの動きが交錯する週となりました。グローバルでは原皮の供給と需要のバランスが大きく揺らぎ、欧州ではEUDR(EU森林破壊防止規則)の運用ルールがさらに具体化。一方、日本では新年度を迎え、姫路の革の里で恒例の「革の市」が開催されるなど、革と暮らしが結びつく季節ならではの動きが見られました。今週もleather-note.com編集部が、皆様にお届けしたい革業界のニュースをまとめます。

目次

2026年4月の世界の革業界の動向を示すイメージ
APLF Limitedより引用 / 出典記事

①姫路「革の里」革の市2026年4月開催——タンナーの街に賑わい

2026年4月5日(日)、兵庫県姫路市花田町小川のポケットパーク花田内にある「レザータウン姫路 革の里」構内駐車場にて、毎月恒例の「革の市」が開催されました。当日は午前9時から午後2時頃までの時間帯で、姫路エリアのタンナーや革製品メーカーが店頭外に並び、皮革製品や革素材の販売を行いました。

姫路市の高木地区は、国内皮革生産の約66%を占めるとされる姫路の中でも特にタンナーが集積する産地で、革の市は「革の里」会員企業が一堂に会する貴重な機会です。同日にはレザークラフト体験も同時開催され、これからレザークラフトを始めたい方や、興味を持つ初心者にも開かれた一日となりました。

📝 編集部コメント
毎月第1日曜日に開催される「革の市」は、姫路という日本最大の革産地と一般ユーザーをつなぐ大切な接点です。タンナーが直接生産している革を一般の方が手に取れる機会というのは全国でもそう多くありません。「素材としての革」と「使い手」が直接出会う場は、革の産地ブランディングにとって何よりの資産です。新年度の始まりとなる4月は、新生活に合わせて革製品を新調したいという需要も高まる時期。地元の方はもちろん、関西から足を運ぶ革好きの皆様にとっても刺激的な一日となったのではないでしょうか。


②カナーズ・ジャパン、ランドセルリメイク春の革小物プレゼント開始

ランドセルリメイク専門ブランド「カナーズ・ジャパン」は、2026年4月1日から6月30日までの3ヶ月間、ランドセルリメイクをご注文いただいたお客様を対象に、革小物をプレゼントする特別キャンペーンを開始しました。リメイク時に生まれる革の端材を、職人が小物へと仕立て、リメイク品と一緒にお届けする仕組みです。

新年度を迎え、新しいランドセルに袖を通した子どもたちの姿が街にあふれる4月。その一方で、役目を終えたランドセルの行き場に悩む家庭は少なくありません。「捨てるには忍びない、でもしまったままにしたくない」という声に応えるサービスとして、サステナブルな視点からも注目を集めています。

📝 編集部コメント
このキャンペーンが象徴するのは、革製品の「廃棄からアップサイクル」へのトレンド転換です。6年間使い込まれた革ランドセルは、それ自体が美しい経年変化を遂げた素材です。親から子、そしてさらにその先へとモノが受け継がれる文化を支援する取り組みは、World Leather Day 2026の「Make It Leather」のメッセージとも見事に呼応しています。革好きの皆様や、家族の思い出を大切にしたいご家庭にとっては、革という素材ならではのストーリーを実感できる素敵なサービスです。


③土屋鞄「トーンオイルヌメ」にナチュラルなタンカラー新登場

土屋鞄製造所のロングセラーレザーシリーズ「トーンオイルヌメ」に、2026年4月2日(木)よりナチュラルなタンカラーが新たに加わりました。縦型の小さめショルダーバッグや、メッセンジャータイプの斜め掛けカバンなど、複数のアイテムで展開されています。価格はトーンオイルヌメ ショルダーが85,800円、デイリートートが93,500円、ポケットショルダーが66,000円となります。

土屋鞄は1965年にランドセル作りからスタートした日本を代表するレザーブランドで、経年変化を楽しめる革素材を活かしたシンプルで重厚感のあるアイテム作りで知られています。トーンオイルヌメシリーズは、オイルをたっぷり含んだ栃木レザーをベースに、使い込むほどに表情を深めていくことが魅力です。

📝 編集部コメント
土屋鞄の新色展開は、毎回革好きの注目を集めるイベントです。タンカラーという選択は、ヌメ革本来の色をストレートに楽しめる王道カラーであり、経年変化を最も顕著に味わえる色味でもあります。新年度の門出に合わせた発売タイミングは絶妙で、新しい職場やライフステージで「長く使える一品」を求める層に強く響くでしょう。革製品事業者にとっては、定番の素材・形に対する「色」の提案という商品戦略の好例として、参考にしたい動きです。


④JIL SANDER新アイコンバッグ「リネア」発売

ジル サンダー(JIL SANDER)の新アイコンバッグとして「リネア」が、2026年4月1日(水)に発売されました。中心にパイピングを施し、彫刻のようなフォルムに仕上げた点が特徴で、長めの肩掛けハンドルを配したショルダータイプは横長フォルムがアイキャッチとなっています。カラーはブラック、ホワイト、オリーブが揃います。

ミニマルで建築的なデザインを得意とするジル サンダーらしい、無駄を削ぎ落とした造形が特徴で、レザー素材の質感がフォルムをより際立たせる構成となっています。

📝 編集部コメント
ジル サンダーの新作は、「素材を語らせる」デザイン哲学の好例です。装飾を削ぎ落とすからこそ、レザーの質感や色合い、ステッチワークが浮かび上がります。ハイブランドのこうしたデザイン傾向は、市場が「デザイン過多」から「素材重視」へ揺れ戻していることを示唆しています。日本の革製品ブランドにとっては、自社が得意とする革本来の美しさを訴求するチャンスと言えるでしょう。


⑤Brazil革輸出9.8%減——量は増加するも価格下落で1.13億ドル

ブラジルの革業界の2025年の革・原皮輸出額は11億3000万ドルで、2024年比9.8%減となったことが、2026年4月9日付のSECEXデータ(CICB分析)で明らかになりました。注目すべきは、輸出量自体は前年比7.1%増の64万75トンに増加した一方、世界的な価格下落が金額ベースの収益を押し下げたという点です。

セグメント別では、フィニッシュドレザーが5億3060万ドル(シェア47.5%)と最大セグメントを維持し、シェアは前年の45.6%から拡大しました。ウェットブルーは2億9790万ドル(シェア26.7%)、ソルテッドハイドは前年比123.7%増の5370万ドルと急伸。一方、クラストレザーは26.3%減の1億470万ドルと最大の落ち込みを記録しました。輸出先1位は中国(3億4490万ドル、シェア30.5%)、2位米国(1億4270万ドル)、3位イタリア(1億2260万ドル)の順となっています。

📝 編集部コメント
このデータは、世界の革業界が直面する「量と価格の乖離」を端的に示しています。需要は確実にあるのに、価格が追いつかない。これは原皮供給の構造変化と、フェイクレザー対抗の価格競争を反映しています。日本のタンナーやブランドにとっては、量より価値・品質で勝負する戦略の重要性を改めて示すデータです。世界第1位の輸出先である中国市場の動向は今後の世界市場全体に強く影響します。


⑥COTANCE事務総長Gustavo González-Quijano氏が退任

欧州皮革業界連合COTANCEは、長年事務総長を務めたGustavo González-Quijano氏の退任を2026年4月9日に発表しました。同氏は欧州の皮革産業を代表する立場としてEUDR(EU森林破壊防止規則)への対応や、革の価値を守るキャンペーンの推進などをリードしてきた重要人物です。後任は前回お伝えした通り、Edoardo De Paola氏が4月から事務総長に就任します。

González-Quijano氏は欧州の皮革産業が直面する規制環境の厳しさを業界外に発信し続け、欧州タンナーの代弁者として国際的な認知度を高めた人物として評価されています。

📝 編集部コメント
業界団体のリーダー交代は、その団体が次に目指す方向性を映し出します。COTANCEは現在、EUDRからの皮革除外を巡って欧州委員会と真剣な交渉中です。新事務総長De Paola氏のもとで、欧州皮革業界が「規制対応」から「規制再設計」のフェーズに移行できるかが注目されます。日本の業界関係者も、欧州の動向を「他国の話」と捉えず、世界共通の規制トレンドの先行指標として注視すべきでしょう。


⑦欧州委員会、新EUDRガイドライン公表——施行に向け運用ルール明確化

欧州委員会は2026年4月9日、EUDR(EU森林破壊防止規則)の新たな運用ガイドラインを公表しました。このガイドラインは、規制施行に向けて事業者が直面する実務的な疑問点に対応するもので、トレーサビリティの記録方法、デューデリジェンス声明の提出フォーマットなどが具体化されています。

皮革業界では、牛革(HS第41類)が規制対象品目に含まれているため、EU市場で皮革を扱うタンナーやブランドにとって、このガイドラインは事実上の操作マニュアルとなります。COTANCEは引き続き「皮革は食肉産業の副産物であり、森林破壊の主因とは異なる」として、品目除外を訴え続けています。

📝 編集部コメント
EUDRをめぐる動きは、もはや「いつから施行するか」ではなく「どう実装するか」のフェーズに入りました。運用ガイドラインの公表は、規制が現実問題として動き出す合図です。日本の革製品事業者の中で、欧州向け輸出をしている企業は、最新ガイドラインを確認し、サプライチェーンのトレーサビリティ整備を急ぐべきタイミングです。直接EUに輸出していない事業者でも、サプライヤーが欧州に輸出している場合、間接的な影響を受ける可能性があります。


⑧インド皮革輸出協議会(CLE)エグゼクティブディレクター退任

インド皮革輸出協議会(Council for Leather Exports, CLE)のエグゼクティブディレクター、R. Selvam IAS氏が、8年間の任期を経て2026年4月9日付で退任しました。同氏のリーダーシップの下、CLEはインドの革・履物産業の対外輸出促進、海外見本市出展支援、政府との折衝などを推進してきました。CLEは2030年までに皮革・履物産業の売上高500億ドルという野心的な目標を掲げています。

インドは中国に次ぐ世界第2位の皮革生産国であり、近年は欧州市場へのシフトが進む中、業界団体の役割はますます重要になっています。

📝 編集部コメント
インドの革業界は、米国関税リスクの中で欧州市場への活路を見出している重要なプレイヤーです。リーダー交代によって、政策の連続性と新しい方向性のバランスがどう取られるかが注目されます。日本の革製品ブランドにとってインドは、原皮供給国であると同時に、革製品OEMの選択肢でもある。今後のインド国内の動向は、グローバル調達戦略を考える上で見逃せません。


今週の総括・展望

2026年4月第1週は、「変化の局面が一斉に動き始めた週」と総括できます。3つの軸でまとめましょう。

第一の軸は「規制環境の実装フェーズ突入」です。EUDR運用ガイドラインの公表は、これまでの議論段階から実装段階への明確な転換点です。COTANCEのリーダー交代もこのタイミングと重なり、欧州皮革業界は新体制で次のフェーズに突入します。日本の事業者にとっても他人事ではなく、サプライチェーンのトレーサビリティ整備は今後の競争優位を左右する重要課題となります。

第二の軸は「世界の原皮・革市場の構造変化」です。Brazilの輸出データが示すように、量は増えても価格は下がるという現象は、世界の革市場全体に広がる傾向です。仕上げ革(フィニッシュドレザー)の比重が高まる一方、低価格帯セグメントは厳しさを増しています。本物志向の革製品が選ばれる時代に入っており、品質と物語性で勝負する戦略がさらに重要になります。

第三の軸は「日本国内の新年度ストーリー」です。革の市の開催、ランドセルリメイクキャンペーン、土屋鞄の新色発表——いずれも「新年度・新生活」というテーマと響き合っています。本革の魅力は「長く使えること」「経年変化で物語を刻むこと」にあります。新しいライフステージを迎える方にとって、本革製品は理想的な相棒となるはずです。

来週は4月第2週。EUDRをめぐる業界の反応、COTANCEとUNICによる更なるアクション、そして日本国内のGW前商戦の動向が注目されます。leather-note.comは、引き続き国内外の革業界の動向を丁寧に追い続けていきます。来週もぜひお楽しみに。


レザー・皮革業界関係者の皆様へ

革製品好きのユーザー

新年度が始まり、新生活のスタートにふさわしい革アイテムを探していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。今週のニュースでもお伝えした土屋鞄の新色「タンカラー」のように、定番のヌメ革が見せる素直な表情は、これから使い込んで自分だけの色に育てていく楽しみが詰まっています。また、お子様の卒業を迎えたご家庭では、6年間共にしたランドセルをリメイクして手元に残すという選択肢もあります。革は使い続けることでこそ、その真価を発揮する素材です。今月29日の世界革の日に向けて、皆様の革との物語を改めて見つめ直してみてはいかがでしょうか。

革事業者・ブランド担当者

今週のニュースは、事業者の皆様にとって重要な戦略的示唆を含んでいます。EUDRの運用ガイドライン公表は、トレーサビリティ対応が「いつかやればいい課題」ではなく「今すぐ着手すべき実務」であることを明示しました。EU向けに直接輸出していない場合でも、取引先の動向によって影響を受けうるため、まずは仕入れ先のサプライチェーン情報の整理から始めることをお勧めします。また、Brazilの輸出データが示す「量は増えるが価格は下がる」傾向は、価格競争に巻き込まれない差別化戦略の重要性を示しています。土屋鞄の新色展開のように、定番素材に新しい価値を加える商品開発、そしてカナーズ・ジャパンのリメイクキャンペーンのように、革の循環性を商品化するアイデアは、これからの市場で力を持つでしょう。


よくある質問(FAQ)

Q1. 姫路の「革の市」は誰でも参加できますか?

はい、どなたでもご参加いただけます。姫路市花田町小川1180-1の「ポケットパーク花田」内、レザータウン姫路 革の里構内駐車場で、毎月第1日曜日の9時から14時頃まで開催されています。皮革製品や革素材の販売が行われており、革好きの方はもちろん、革製品を探している一般の方や、レザークラフトの材料を探している方にもおすすめです。お客様専用駐車場は会場より20m北側にありますので、お車での来場の際はご注意ください。

Q2. ランドセルのリメイクを検討していますが、どのくらいの期間で仕上がりますか?

ランドセルのリメイクは、依頼するブランドや時期、選ぶ商品によって大きく異なりますが、一般的に2〜6ヶ月程度かかることが多いようです。卒業シーズン(3月)の直後は注文が集中するため、納期が長くなる傾向があります。今回ご紹介したカナーズ・ジャパンのキャンペーンは2026年4月1日から6月30日までの期間限定ですので、お考えの方は早めの問い合わせをおすすめします。

Q3. EUDRは日本の革製品を購入する一般消費者に影響しますか?

直接的な影響は限定的ですが、間接的には影響する可能性があります。EUDRは欧州市場で販売される製品が対象のため、日本国内で購入される革製品が直接規制されるわけではありません。ただし、欧州産の高品質な皮革素材を使用している日本ブランドの場合、サプライチェーンの透明性が求められることで、原料コストや製造コストに一部影響が出る可能性があります。長期的には、世界の皮革業界全体でトレーサビリティへの取り組みが進むことで、結果的により持続可能な革製品が選びやすくなることが期待されます。

Q4. 経年変化が楽しめる革製品の選び方を教えてください

経年変化を楽しむなら、化学薬品を使わない植物タンニンなめしの革(ヌメ革・栃木レザー・ブッテーロなど)を選ぶのがおすすめです。仕上げの段階で表面を強くコーティングしていないアニリン仕上げや素上げの革は、特に変化が顕著です。今週ご紹介した土屋鞄のトーンオイルヌメも、栃木レザーをベースとしたオイルレザーで、使い込むほどに艶と深みが増します。お手入れは月1回程度のクリームでの保湿が基本となります。


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参考記事リンク

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